【勉強法シリーズ① 】テスト効果と問題集を“テスト化”すること
さて今回よりずっとやりたかった、PASSFIND が行なっている勉強方法の裏付けになる理論の紹介です!!
塾の指導内容の意図がご理解いただければと思います!
PASSFINDでは、「たくさん解く」よりも「正しい順序で学ぶ」ことを大切にしています。
その核となる考え方が、「問題集をテスト化する」という学習法です。
これは単なる練習の積み重ねではなく、心理学の研究で裏付けられた“記憶を長く残す仕組み”として設計されています。今回は、教室で実践している「解き方」と「丸付け」の意味を、わかりやすくご紹介します。
1.「復習してから解く」ではなく、「解いてから復習する」
多くの生徒は「まず復習してから問題を解く」と考えがちですが、PASSFINDでは逆のアプローチを取ります。あえて復習をせずに問題に挑戦することで、問題集そのものを“テスト”に変えるのです。
まず自分の力で問題を解くことで、
その問題自体が「定着度を測るテスト」に変わります。
この段階では、間違えることは問題ではありません。むしろ「何ができて、何ができていないか」を正確に把握することが目的です。解く前に復習してしまうと、“今の自分がどこまで覚えているか”が分からなくなってしまいます。
この“本番形式で解く”習慣が、定着度の可視化と効率的な復習につながります。
2.「丸付け」は“採点”ではなく“分析”
次のステップは丸付けです。ここでも、PASSFINDでは明確なルールを設けています。
- ヒントを見た・調べた・教えてもらった問題はすべて×。
- テスト本番で自力でできないことはすべて×。
このルールは、テストと同じ状況を作るためのものです。つまり、問題集を“テスト化”するための具体的な方法です。
この基準で丸付けを行うと、「本当に自力で思い出せる内容」と「一度理解したけれど忘れてしまった内容」が分かります。ここで大切なのは、理解していたかどうかではなく、今も記憶に残っているか(=定着しているか)です。
理解した瞬間に「わかった!」と思っても、3ヶ月後に解けるとは限りません。PASSFINDの学習では、“理解の瞬間”よりも“記憶の持続”を重視しています。
3.「単元テスト」で“思い出す力”を鍛える
このように、日々の問題集を“テスト化”していく学習法は、心理学の研究でも効果が証明されています。学習内容を繰り返し読むよりも、「思い出す練習(テスト)」を繰り返す方が記憶の定着率が高い。この現象はテスト効果(Testing Effect)と呼ばれます。
🔹代表的な研究の紹介(わかりやすくまとめると)
- Roediger(ローディガー)とKarpicke(カーピッキー)(2006)の実験では、大学生を「何度も教科書を読み返すグループ」と「一度読んでからテストを受けるグループ」に分けて学習させました。
結果、勉強直後は“読み返したグループ”の方がよくできていましたが、1週間後には“テストをしたグループ”の方が覚えていた量が多いことが分かりました。つまり、「思い出そうとする練習(テスト)」を取り入れることで、記憶が長く残りやすくなるのです。 - Karpicke(カーピッキー)とRoediger(ローディガー)(2008)の別研究でも、「もう一度読む」よりも「思い出す練習をする」ほうが、数日後のテストで40%以上多く覚えていたという結果が出ています。つまり、“読む”より“思い出す”ほうが記憶は定着するということです。
- さらに、Adesope(アデソープ)ら(2017)が世界中の研究をまとめて分析したところ、「練習テスト(思い出す練習)」を取り入れた学習は、成績を大きく伸ばす傾向があることが確認されています。これは、確認テストが「点数をつけるためのもの」ではなく、“記憶を強くするための学習そのもの”であることを示しています。
4.宿題・試験対策・入試対策にも一貫して活用
この「問題集をテスト化する」学び方は、通常授業だけでなく、宿題(学校ワーク)・定期テスト対策・入試対策のすべてにおいて共通しています。
一度学習した単元を復習する際にも、いきなり教科書や解説を見るのではなく、まずは自分の力で問題を解いて“テストとして解く”ところから始めてもらいます。こうすることで、「覚えたつもり」を防ぎ、今の定着度を正確に測ることができます。
その後の復習は、忘れていた部分を中心に行うため、時間の効率も非常に高くなります。
5.保護者の方へのフィードバック
PASSFINDでは、すべての単元ごとに単元テストを実施しています。結果は点数だけで終わらせず、講師のコメントや分析結果をLINEの写真で保護者の方へお送りしています。
「どの部分が定着していて、どの部分が忘れていたか」を共有しながら、ご家庭でもお子さまの学習状況を一緒に把握できるようにしています。
6.まとめ:「理解」と「定着」、練習より「再テスト」
PASSFINDの学習サイクルは、
- 復習しないでまず解く(問題集をテスト化)
- 丸付けで“今の定着度”を分析する
- 単元テストで思い出す力を鍛える
私たちは、学習のステップを「理解」と「定着」の2つに分けて考えています。
多くの学習では「理解」に重点が置かれがちですが、実際に試験で問われるのは、
理解したことがどれだけ定着しているかという部分です。
PASSFINDでは、この「定着」を意識したカリキュラムを軸に、
心理学的な理論に基づいて、「忘れない学び」を実現するための指導をこれからも続けていきます。
📘次回予告:
【勉強法シリーズ②】「流暢性の罠」──正解できるのに点数が上がらないのはなぜ?